■ダンディーズのみなさんへのエール
まだ大学院生だった頃からダンディーズにお邪魔し、あっという間に10年の月日が流れました。
普段伴奏は多くしていますが、合唱団は後にも先にもダンディーズしかご一緒したことがなく、そのため私自身も音量のバランスやタイミング等、模索し続けた10年間でした。
年々高齢化のためか声量が落ちてきているのを感じ、知らず知らずのうちに私も合唱の邪魔にならないようにフワッと弾くクセがついていました。
けれど今回「水のいのち」に取り組みこの10年一度もできていなかったことが2つ、叶いました。
●8分の6拍子でリズムを調整することなく、テンポ通りに弾くこと
●強弱の幅を広げて、フォルテの箇所はおもいきりピアノを鳴らすこと
文字にすると「こんなにも簡単なこと!?」と思われるかもしれません。
しかしそれが淀みない自然な音楽を表現するにはいかに大切なことかを再認識させられました。
そしてこの2点は私が「やらなかった」のではなく「させてもらえなかった」ことなのです。
この数ヶ月武藤先生の指導に加え新しい指導者の教えもあり、どんどんダンディーズの声が出て前に飛んでくるのを感じていました。
合唱の厚みが増すとこちらも音の厚みを保ったまま演奏することが可能となり、これまでの弱音に加えしっかりピアノを鳴らした奏法ができるため強弱の幅を広げることができる。まさに相乗効果を生み出したわけです。
面白いことに数名の団員さんとお話したところ、「自分達の声が出てきた」とか「個々が上手くなった」と実感されている方はいらっしゃらず、中には「ピアノが上手くなった」と思われている方までいらして、私としてはなんともラッキーな展開でした!
そして音をのばしている間もしっかり息を出し続けることによって、ダンディーズがずっと苦手としていた8分の6拍子も、いつの間にか克服できたのだと思います。
お二人の素晴らしい指導者に恵まれて、今回のコンサートは心から「大成功だった」と私も思います。
新しい発声を学び、ダンディーズは変化を続けている時期です。
どうぞ永澤先生を信じて更なるステージへ駒を進めて下さい。
この10年、練習時や合宿の際に人生の先輩である皆さんとお話し、またステージの作り方等音楽家としても学ぶことが本当に多かったです。
家族全員音楽家の家庭で生まれ育った私ですから「音楽=勉強」のようなものであり、コンサートの度に笑顔でサポート下さる団のご家族の姿も新鮮に映りました。
また人生を投影させたかのような歌声からも勉強することが多々あり、特に武満徹の「死んだ男の残したものは」は印象的で、もう一度一緒に演奏したい1曲でもあります。
またいつか、ダンディーズの皆さんと演奏できる日を願っていますので、お身体を大切に益々のご発展をお祈り致します。
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