合唱団ダンディーズ広報誌
あんさんぶる No.12
2007年8月発行

5thコンサートを聴いて

白井惇一/ダンディーズ元団員・東大柏葉会OB・OG合唱団顧問 

 あたたかい演奏会でした。歌う方も聴く方も、最初のうちはとかく堅苦しくなってよそよそしい雰囲気になるものですが、今回は初めからすーっと心に入ってきました。
 その大きな原因は、「武藤節」(私は秘かにそう呼んでいます)をまずトップに据えたことでしょう。武藤さんのアレンジは、男声合唱団の魅力をたっぷり引き出しているうえに、選ぶ曲もポピュラーなものが多く、聴き手に強く訴えるものを持っているからです。こんなレパートリーを所有する合唱団はつくづく幸せだと思いました。
 昔歌ったことのある「多田武彦」はひたすらなつかしく、「アメリカ音楽」は歴史的な意味でも興味深いものがありました。少し専門的にはなるでしょうが、このテーマだけでひと演奏会ができそうです。カルテット、ダブカル、共にたいへん楽しませてくれました。ダンデイーズの文字どおりの「粋」をジャズで追求しようというあたり、その意気込みは壮たるものがあります。特にカルテットには文句なしに脱帽。

 実は、今までステージで皆さんと一緒に歌ったことはあるのですが、客席で聴いたのはこれが初めてなのです。大ざっぱな印象ですが、どこかちょっと違うなという感じがありました。練習場で自分で歌っているときは、他のパートが身近に感じられるというか、まわりがガンガン鳴っているような気がしたものです。ところが今度、演奏を少し離れた客席で耳にすると、思っていたよりさっぱりと聞こえてくるのです。 だからというわけでもないのですが、時には「圧倒的なヴォリューム感」というか、男声合唱ならではの「肉体的な快感のようなもの」が、もうちょっと欲しくなることがありました。もちろん、人数の問題が一つのネックでしょうけれど・・・・・。
 平均年齢六十七歳とのアナウンスがあり、自分が入っていればもっと高くなったのかと妙な気分でしたが、しかし、ステージから聞こえてくる歌声にはトシは感じられませんでした。歌い続けていれば声はそう衰えるものではありませんし、年を経ればそれなりの魅力も出てくるものです。その意味で、次回のステージへの期待を十分ふくらませるものがありました。まだまだ力いっぱい「青春」を歌い上げてください。「年と共に涸れてきた」などというのには、ちと早いと思うのです。
 最後に一言。コンサートに加えて打ち上げ会にも参加させていただき、旧交をあたためられたのは望外の幸せでした。団員をはじめスタッフの皆様に感謝しています。
(2007年7月記)